関西医科大学第5回市民連続公開講座

演 題:前立腺肥大と前立腺癌について

講演者:川村 博(関西医科大学附属男山病院泌尿器科部長)

主 催:関西医科大学附属男山病院

共 催:八幡市立生涯学習センター

日 時:平成15年(2003年)1月18日(土)

会 場:八幡市立生涯学習センターふれあいホール

 

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  座 長(豊 紘・関西医科大学附属男山病院長) それでは講演2の前立腺肥大と前立腺癌について、関西医科大学附属男山病院泌尿器科部長川村博先生に講演していただきます。川村先生は昭和47年に関西医大大学院博士課程を修了され、関西医大附属病院泌尿器科講師をされ、関西医大男山病院泌尿器科部長もされております。また現在日本泌尿器科学会認定医、日本東洋医学会認定医でもあります。それでは川村先生、よろしくお願いいたします。

 

 川 村(関西医科大学附属男山病院泌尿器科部長)

 ( slide No. 1 ) きょうのテーマである前立腺について、去年7月に八幡市検診でPSAの採用が決まって、急きょエントリーさせていただきました。きょうたまたま天皇陛下も手術をされ、先程インターネットで調べると無事終了されたようです。これから前立腺についてお話をさせていただきます。

 ( slide No. 2 ) これは私の好きな絵です。考える人は考えていただきたいと思います。

 ( slide No. 3 ) 前立腺はどこにあるか、その働きは何か、高齢になるとどうなるのかというポイントについてできるかぎりお話しさせていただきます。

 ( slide No. 4 )  前立腺はどこにあるのか。どのような働きをしているのか。

 あまりおいしそうな絵ではありませんが、これが膀胱です。この出口にクルミ大の分泌腺があります。これが前立腺です。古い方では摂護腺という名前をご存じかと思います。真ん中に尿道が通っています。2×2.5 ×4cmの大きさ、15~20gの重量です。

 ( slide No. 5 )  横断面で見るとちくわのように見えます。

 ( slide No. 6 )  ホルモン関係は非常に難しいので説明を省きます。副生殖器ですので分泌活動をしています。前立腺液は粘っこいクリの花の匂いのする透明な液です。精液の 1/3を占めています。これは精子に活性を与え、栄養を与え、運動を強化させます。

 ( slide No. 7 )  きょうは前立腺の話ですが、専門用語がときどき出てきますので、先に一口メモで予備知識を入れていただきます。「頻尿」わかりやすく言えばおしっこが近い、「尿意」おしっこに行きたい、「残尿」すっきりせずに残った感じがする、「尿失禁」尿をちびるということです。漢字で書くと難しく見えますが、私どもはついついこれを使います。

 ( slide No. 8 )  頻尿とはどういうことか。1日の排尿回数は4~6回と言われています。夜中は起きても1回、最大2回まで。ですから10回を超えると頻尿となります。特に夜間で2回を超えると「夜間頻尿」と定義されます。

 ( slide No. 9 )  膀胱にはご存じのように尿をためる蓄尿機能とためたものを出す排尿機能があり、その容量は 150~250cc と言われております。ですから1日の尿量を1000~1500ccで計算すると4~10回。例えば膀胱炎とか冷え、ストレスがあると、膀胱の容量が小さくなってこれだけ入りません。たまっていないのに尿意を感じるようになります。

 ( slide No. 10 )  1日尿量は成人男子でだいたい1000~1500cc、高齢になると新陳代謝が落ちるので 800~1200ccになります。ただし昨今、脳血栓が怖いので水分を摂取するようにと勧められて2リットルも排尿する人も結構います。

 尿量を増加させる因子と減少させる因子があります。増加因子である水分を摂取すれば文字通り尿量がふえます。例えばビールを多飲した、スイカを食べたなどです。その他、利尿剤、降圧剤、浮腫改善剤、漢方では柴胡剤が入った薬剤でも同様にふえてきます。腎臓が悪いときや心臓の調子がよくないときにも尿量がふえてくることがあります。

 反対に減る場合。脱水。炎天下で働いたり走り回った後では尿量が減少します。このときは尿の色が濃くなるので、皆さんは濃縮していることに気づくと思います。上の多い場合では希釈しているので水道水のようになります。また発熱も減少因子となります。

 ( slide No. 11 )  嫌な言葉ですが、体の老化。これは昨今言われていることですが、加齢とともに耐糖能が低下して、それによって糖尿病が発生します。一方、血中のカテコールアミンの上昇が認められ、血圧の上昇につながります。これらが重なってくると夜間多尿、ひいては夜間頻尿が誘導されてきます。

 ( slide No. 12 )  夜間頻尿(多尿)。若いうちは就寝すると翌日の朝までトイレに行かずに我慢ができました。脳下垂体から分泌される抗利尿ホルモンによって尿を濃縮して明日までもたせます。ところがのべつくまなくトイレに行ける状態になると、眠りが浅くなるとともにホルモンの作用が弱くなって夜間にたくさんの尿ができてくることになります。また心臓が悪い、腎臓が悪いといった疾患が併存している場合、薬を服用している場合、その他前立腺の刺激によっても多尿の状態になります。脳血栓が怖いのでたくさん水を飲むことでも尿量がふえてきます。

 ( slide No. 13 )  残尿とは排尿してもすっきりしないことですが、理論上ではトイレに行って排尿すると空っぽ、0になるはずです。ところがそれが残ってしまう。20ccまでであれば許容範囲ですが、100cc 以上残るようになると、お菓子で言えばかなりの上げ底で、困った状態です。この場合、ドクターストップがかかって導尿の処置が必要になってきます。残尿の存在は膀胱の有効容量を殺すことになるので困るのですが、さらに膀胱炎を繰り返したり、膀胱結石、ひいては水腎臓を併発するまで腎機能が悪くなります。

 ( slide No. 14 )  尿が漏れる。これは文字通り、ちびる、漏れる、間に合わない、きれ不良という状態です。わかりやすくいえば尿道括約筋が緩んできたためにこのような状態になります。若いうちは放尿中でも尿を止めることができたのに、現在は止めにくくなっていると思います。女性に言うのは失礼ですが、ご主人がよくおならを落とすようになったのも尿道括約筋が弱っている一つの証拠だと思います。

 その他の原因として前立腺肥大症。膀胱壁の異常から過活動性の神経因性膀胱という因子も入っていると言われています。

 行動性排尿障害。これはもたつくためスムースに排尿行為ができないので間に合わないという状態です。尿意を催してトイレまで行きますが、あと1、2秒待ってくれればいいのにフライングしてしまう。振り切ったはずなのに帰ってきたらズボンが濡れているということもあります。

 ( slide No. 15 )  これから前立腺肥大症について説明します。左が正常、右が異常です。前立腺は小さな状態から大きく結節性肥大を起こすと、尿道が狭小化し尿道も延長します。膀胱はしっかりした筋肉ですが、そのために気張って出すと膀胱壁が疲弊します。ゴム風船を軽く膨らませてすっと抜くと弾力性がありますが、パンクする寸前まで膨らませて空気を抜くとしわしわになります。そういう状態を考えるとわかりやすいと思います。

 ( slide No. 16 )  前立腺は教科書的には内腺と外腺と書かれていると思いますが、特に癌の話が出てきてから内腺と外腺では話ができなくなって、昨今分類が変わってきました。そこできょうは医学教育用の図を持ってきました。これは直腸側、こちらは膀胱、尿道で、尿道は前立腺の中を通っています。中心領域(CZ)、移行領域(TZ)、辺縁領域(PZ)に分けると、前立腺肥大症はTZに高頻度にできてきます。前立腺癌は直腸壁近辺のPZにできやすい。ここにできる癌は腫瘍マーカーであるPSAにほとんど反応しますが、ここにあるのは反応しにくい。

 前立腺肥大症は1期、2期、3期と分けられます。

 ( slide No. 17 )  まず1期は前立腺が少し大きくなった病期で、別名夜間頻尿期と言います。歯茎が痛くはないんだけど少し腫れて気になる、落ちつかない、そのような状態とよく似ています。

 ( slide No. 18 )  2期になるとかなり腫れてくるので、残尿が発生してきます。このときは膀胱はまだ一生懸命気張って出してくれるので、不完全尿閉期もしくは代償期と言われます。

 ( slide No. 19 )  3期になると、かなり気張って出していたのですが、そろそろ代償ができなくなってきた、いつ尿閉が起こってもいい、腎機能も悪くなっているという代償不全期あるいは尿閉期です。ですからこのときの残尿は 100cc以上たまっております。

 ( slide No. 20 )  1期、2期、3期をそろえました。

 ( slide No. 21 )   ここに製薬会社から資料提供を受けたマンガがあります。

 1.排尿後に残尿感があるかどうか。

 ( slide No. 22 )  2.2時間以内にまたトイレに行くかどうか。

 ( slide No. 23 )  3.排尿が一直線でなくて、途中で途切れることがあるかどうか。私どもは努責排尿と言います。出ては止まる、出ては止まるを繰り返します。

 ( slide No. 24 )  4.早く行かないと間に合わない。

 ( slide No. 25 )  ゴビ砂漠で放尿すると虹が出るという話をおじいさんから聞いたことがありますが、これは5.とろとろしか出ない。

 ( slide No. 26 )  6.気張らないと出ない。このような状態では血圧も上がるでしょうね。

 ( slide No. 27 )  7.夜中何回も起きないといけないようになってくる。

 全部で7項目あります。夜中に何回起きた、残尿感が毎回なのか2回に1回なのか、全くないのか等々を問診表を使って各項目について0~5点を付けます。この点数によって重症度判定をします。

 ( slide No. 28 )  これにQOLスコア(今のままの排尿状態に満足しているかどうか、0~6点で評価)を加えます。ただしこれは前立腺肥大症を優位に反映しますが、それとは限りません。

 ( slide No. 29 )  重症度判定はIPSS(international prostatic syndrome score:国際前立腺症状スコア)を用いて評価します。軽症は7点まで、中等度は8~19点、重症は20点以上。それにQOLの点数を加えます。これは私どもは誘導しません。誘導すると私どもの思惑や思わぬ方向に連れていくことになるので、患者さん自身に書いてもらいます。月に1回ずつ書けばご自分の動態がご自分でよくわかると思います。

 ( slide No. 30 )  前立腺肥大症を診断するために尿検査をします。前立腺肥大症だけでも血尿は出ますが、他の因子、例えば膀胱に結石があるかどうか、腫瘍の有無などを調べます。先程のIPSSの他に排尿記録があります。これは排尿日記とも言われます。朝7時に起床して7時10分にトイレに行くと 150cc出た、その次は9時で 200cc出た、そのような記録を付けてもらいます。その他に画像診断、鑑別診断、ウロダイナミックス、そのような検査があります。

 ( slide No. 31 )  一番簡単なのは画像診断です。これは直腸エコーですが、尿がたまっている状態で腹壁から見れば前立腺の縦、横、斜めが測定できます。これが一番簡単で痛みはありません。

 ( slide No. 32 )   わかりやすいように尿道造影を見ていただきます。膀胱の出口は本来ここでしたが、前立腺が腫大してここになっています。膀胱の淵はぎざぎざになっています。これだけ前立腺肥大があると気張らないと出にくいと思います。

 ( slide No. 33 )  これは簡易トイレのようですが、この下に圧センサーがあってコンピューター処理でスタートから放尿中、そして終わったというグラフが出てきます。このグラフから最大尿流率、排尿時間などがわかります。グラフの形が富士山タイプになると合格です。ところが前立腺肥大症ではこのような鋸(のこぎり)状のグラフになります。私はこれほどではありませんが。だから男性がトイレに並ぶときに、高校生2人の列とお年寄り1人の列があるとすると、高校生の後ろに並ぶほうが早い。ピークフロー15ml/sec以上出ているとすると、高校生は15秒ですみます。この鋸状の排尿ではいつ終わるかわかりません。出るまでに時間がかかる、出ている時間が長いということを昔は苒(ぜん)延性、遷延性と言っていましたが、最近は遅延延長するという言葉で表現しています。

 ( slide No. 34 )  先程のIPSSとQOLから重症度判定をしますが、私どもはこれに最大尿流率、残尿量、前立腺重量の因子を加えて、さらに全般的な重症度を判定します。

 ( slide No. 35 )  前立腺肥大症は薬でほとんど人が改善し、手術する人はほんのわずかです。10人中8人は前立腺肥大症の症状を呈しますが、実際に薬を飲むのは5~6人、手術は1人あるかないか、それが現状です。

 ( slide No. 36 )  ここに挙げたα1 ブロッカーが代表的な薬です。もともとは血圧を下げるための薬ですが、膀胱の出口にあるα受容体--膀胱をしっかり閉めて尿をこぼさないようにしている筋肉の神経作用をブロックすることによって尿を出しやすくします。この薬が出てから手術患者さんがものすごく減りました。

 しかしこの薬は血圧を下げるために、血圧が 110mmHg以下の患者さんには使えません。いろいろなα1 ブロッカーが出ているのでどれがいいか選択するのですが、実は6割5分を内科の先生が、残りの3割5分を外科もしくは泌尿器科の先生が薬を処方しています。平成11年度に厚生労働省でガイドラインが作られました。どのようなものがいいか検討された結果、薬物療法であればα1 ブロッカーが標準治療となっています。抗男性ホルモン療法やこれとの併用療法などは option か undo です。意見の一致をみないとか科学的根拠がない、あるいは患者さんの希望に添う形で処方されます。

 特に昨今話題になっている抗男性ホルモン剤を併用すると、文献的には3割5分くらい、統計の少ないものでも17%ぐらいの前立腺の縮小が認められます。しかし前立腺癌を治療する薬でもあるので、マスキングしてしまってその実態をわからなくしてしまいます。これが一番困った問題です。その他に漢方薬。コリン作動薬は膀胱壁が疲弊しないように補助する薬です。

 ( slide No. 37 )  低侵襲手術。大きな障害(傷害)を与えない手術です。例えば心臓が悪くて手術ができない場合にはステントを留置します。ステントはボールペンの中に入っているらせん状の金属のようなものです。レーザー凝固法、温熱療法、バルーンを入れて膨らます方法などがありますが、いずれも代表的ではありません。

 ( slide No. 38 )  前立腺肥大症の手術では経尿道的前立腺切除術が標準的治療(ゴールドスタンダード)になっています。その他に切開術。蒸散術はレーザーと組み合わせたものです。こういう方法が代表的です。皆さんご存じかと思いますが、これらはいずれも経尿道的に、つまりペニスの先端から内視鏡を挿入して行いますので表面状傷は一切つきません。他方、この開創的前立腺摘除術をここ10年間私はやったことがありません。ですからこの方法が適用になる症例はなくなったということです。このような手術による治療法がありますが、そのまま経過観察の方も結構たくさんいます。残尿量が少ない、腎機能が障害されていない場合は様子をみています。

 ( slide No. 39 )  これがガイドラインです。排尿障害を訴える50歳以上の男性を対象に、例えば結石や感染、腎機能障害があればこのガイドラインから外れます。そしてIPSSで評価して軽症に分類されると経過観察になります。ところがIPSS、尿流曲線など排尿機能に異常があれば何らかの治療をするのが現状です。

 ガイドラインは医療機関によって偏りがあるといけない、均一な治療をしようという方針で作られています。何らかの形で皆さんは思い当たることがあるけれども、紙一つで切り抜けている場合がたくさんあります。放っておくと膀胱壁が疲弊してだんだん悪化してきます。快適な生活が送れるといいのですが、寒い冬に例えば法事に出かけてお酒を飲んでおしっこを我慢して風邪をひいて、まるで私の1週間前の生活です。このようなときに咳止めの強いのを飲んだのでおしっこが出なくなりました。このような話はよく聞きます。

 ( slide No. 40 )  きょうお見せしたかったのはこれです。院長先生からテーマをもらったときにこれだと思いました。去年7月から八幡市の市民検診でPSAが採用されました。PSA(前立腺特異抗原)は腫瘍マーカーですが、癌特有ではありません。前立腺の上皮細胞から分泌されるセリンプロテアーゼを調べることによって癌の判定をする一つの指標です。

 まだ検診の精査中ですので母体数はわかりません。だいたい1500例をめどにしていますが、1000余だと思います。PSAが4.0ng/ml以上の方は八幡中央病院と男山病院のいずれかで二次検診を受けています。送られてきた患者さんは60人、年齢は60~90歳、PSAの分布は 4.1~471ng/mlでした。この471ng/mlという方は完全に癌と思われます。70ng/ml 以上の患者さんは4人いました。送られてきた60人の方の腹部エコー、直腸診、PSAを三者比較して、経過観察と二次検診として前立腺の生検対象者に分けて、このうちの半分30人の方に二次検診を実施しました。そのうちの14人に癌が見つかりました。PSA4.0ng/ml以上としていますが、最低の数値は5.0ng/mlでした。年齢は60~82歳。この90歳の人はフリーでした。キャンセルされた方も3人います。

 こちらは希望で受診された方ですが、この期間中に二次検診を受けた12人中8人、その前半で21人中7人、ということで15人。14人を加えた合計29人見つかりました。一般に私どもの施設では毎年コンスタントに新しい前立腺癌の方が15~20人見つかっています。例年より5割増でびっくりしました。

 これを契機にして肝機能、腎機能を調べる折りには是非ともPSAに○を付けてください。ただしこればかり考えているとノイローゼになるので、後で気が休まるような数値もお見せします。

 ( slide No. 41 )  前立腺癌はアジア系ではマイナーな癌で、とやかく言われていませんでした。しかしアメリカでは罹患率1番、死亡率2番です。特に黒人のものだろうと私どもは考えていました。それが20年、30年前です。

 ( slide No. 42 )  人種別にグラフにすると、アメリカがナンバー1です。特にアトランタの黒人は天下一だそうです。反対に日本人は非常に少ない。ただしこれも少し前の数字です。

 ( slide No. 43 )  人種差について、ロサンゼルスの黒人、ロサンゼルスの白人、ロスに移り住んだ日本人、生粋の日本人でグラフにするとこれだけの差があります。横軸は年齢です。どの線も右肩上がりですから、高齢になればなるほどその発見率は高くなっていますが、やはり人種差が出ています。ロスに移り住んだ日本人と生粋の日本人でどうして差があるかと言えば、食生活が大いに関与しています。

 ( slide No. 44 )   去年の暮れに発行された白書から引用しています。1975年の人口10万人当たりの発見率は 7.1人でした。ところが20年後には17.7人にふえています。実に 2.5倍の発生率になっています。どうしてそんなに多くなったのかというと、実はPSAで発見率が高くなったのもあります。だけども年齢の分布を見ると、若い人にはほとんど出ていません。高齢になればなるほどその発見率は高くなります。

 ( slide No. 45 )  死亡率も増加していますが、ごく最近になって頭打ちになっています。私どもの施設でも前立腺癌で年間5人程亡くなられます。そのうち原病死は1人か2人で、ほとんどは高齢のために肺炎で亡くなっています。ちなみに去年1月早々に92歳の方が肺炎で亡くなりました。でも私どもは前立腺癌でなくなったと考えています。

 ( slide No. 46 )  前立腺癌は昨日、今日できたものではなく、どの癌にもその成長曲線があって、種を蒔いて一粒の種が1cmに、2cmに、4cmに成長するまでの癌の成長をみると、1cmの大きさになるまで実に25年かかっています。男性の皆さんは前立腺癌になる可能性を持っています。去年ノーベル賞を受賞された方はアポトーシス(細胞自殺)を研究された方でしたが、そのアポトーシスによって癌の芽が枯れてしまうこともあります。全部が癌になるわけではなくて、周りの環境因子、この場合では脂肪食や性生活が accelerate して出てきます。私どもが見つけたといっても、その腫瘍の大きさが1cmだから針にひっかかったのかどうかというのはこれからの問題です。

 ( slide No. 47 )  リスクファクター。喫煙、飲酒、コーヒーを飲んだからだと言われますが、特に言われるのは癌の家系です。この場合、そうでない場合より 1.6~3.44倍高率に見つかるので必ずPSAを調べるようにと言われています。それから脂肪の過剰摂取。

 防御因子として緑黄色野菜、トマト、豆類と言われています。その他、肥満と精管結紮。肥満は脂肪と関係があります。精管結紮というのは高齢になってパイプカットをするということはそれだけ性生活が多忙であるということです。

 ( slide No. 48 )  前立腺癌の診断法。従来であれば私どもが習った教授は指先1本でぴたりと当たるという直腸診。肛門から指を入れて前立腺を触診します。私もやってみましたが、外れました。そこでPSA検査が確立されてから診断率は非常に上がりました。おまけに経直腸的にエコーを撮るとさらに精度が上がってきました。さらに生検を行います。この画像診断というのはレントゲンの単純写ではなくて、CTとかMRIによるものです。

 ( slide No. 49 )  前立腺癌に特異な症状があるかというと、当初はありません。単なる前立腺肥大症と同じです。ですから今度の八幡市検診で来られた方には皆さん癌だと告知させていただきましたが、その途端に皆さんの顔色が変わりました。「私には何も症状がない。たまたま行けとホームドクターに言われたから来たら癌だとは、どういうことか」という方もいました。癌と言われたらびっくりしますが、早期発見だと説明いたしました。昨今の新聞を見ていると癌で深作監督が亡くなっています。森前首相が手術前提で治療を始めたとか天皇陛下が手術したとか、いろいろな話が出てきました。たまたまそれだけよく見つかるだけです。前立腺癌の症状は前立腺肥大症と全く同じですから、前立腺肥大症のような顔をして癌が潜んでいるというのが一つの警告です。

 ( slide No. 50 )  癌が前立腺のカプセルの外に出てきた場合、例えば膀胱、尿管、直腸に浸潤してくると、何らかの症状が出てきます。組織の中で一番よく転移する先は骨です。10年前では、腰が痛いから整形外科を受診した、そうすると泌尿器科を紹介された、そこで癌が見つかったというのが一番多いケースでした。肺に転移するとそれは末期です。ご飯も食べられないような人に前立腺の原発癌を見つけても手遅れです。その前に血尿がある、おしっこが出にくいという症状から見つけてこそ意味があります。

 ( slide No. 51 )  これがPSAのスクリーング検査のフローチャートです。PSAが4.0ng/ml以下だと98%の確率でまず大丈夫です。ただし実はこれにも落とし穴があります。 4.0~8.0ng/mlはグレーゾーンで、8ng/ml 以上になると前立腺生検の対象となります。グレーゾーンの人はこれから発癌する可能性が大いにあるので、直腸診やエコーで調べた上でふるい分けして生検します。生検して癌が見つからなかったとしても経過観察が必要です。

 ( slide No. 52 )  先程指先1本でと言いましたが、癌ができやすいのはこの辺縁領域で、70%以上はここです。だから指で触ればわかります。ただしその癌はかなり進行しています。

 ( slide No. 53 )  経直腸エコーで前立腺を見ています。この像を見ながらどこをシステマティックに生検するか、確かめながら針を刺していきます。

 ( slide No. 54 )  これは片方を生検しています。

 ( slide No. 55 )  生検用の針は実際はこのように細く、患者さんには痛みはありません。痛いのは肛門の消毒のほうかもしれません。私は加害者ですから偉そうなことは言えませんが。

 ( slide No. 56 )  他の画像診断としてRIによる全身の骨シンチがあります。テクネシウムというラジオアイソトープで骨に転移していないかどうかを調べるのが主目的です。

 ( slide No. 57 )  病期(ステージ)診断です。天皇陛下のように前立腺の中にあれば手術であと10年、15年気楽に過ごせます(病期B)。しかし病期Cのように前立腺から外に出るようになると、まずホルモン治療やコバルトによる放射線照射をして固めてから考えます。病期Dの段階になると骨まで転移しています。病期A1 は前立腺肥大症の手術をして摘出すると組織にたまたま癌細胞がみつかったという程度で、以後腫瘍マーカーが上がってこないかどうかを経過観察します。

 このようにA~Dまで分類します。Dでも亡くなることはありません。保証期間はその人によって違ってきますが、結構長生きできます。

 ( slide No. 58 )   前立腺癌の治療法としてまず内分泌療法。昔は除睾術(精巣除去術)、男のシンボルを切除する方法が主流でしたが、現在ではホルモン療法ができない人のみに行われています。エストロゲン(女性ホルモン)療法。アジア系はこれに割と強いのですが、白人系は脳血管系の疾患があってすぐに脳出血とか心疾患でだめになるので中止されました。次に出てきたのは抗男性ホルモン剤(抗アンドロゲン剤)です。さらに新しくはLH-RHアゴニストがあります。ホルモンシステムの働きを利用する4週間に1回の注射剤です。慣れてくるとその3倍、12週間に1回の注射でコントロールできます。これらのホルモンが効かないホルモン抵抗性 hormone resistantの場合には副腎皮質ステロイド剤を使います。

 癌が前立腺のカプセル内に限局されて他に転移が認められない場合には根治的前立腺摘除術になります。ただしこの方法では内尿道括約筋がだめになるので尿失禁や神経を温存してもED(勃起不全、IMP)が起こる可能性があります。そして最近推奨されているのが放射線治療です。

 ( slide No. 59 )  これはLH-RHアナログの話です。これは難しい作用機序なので詳細は省きます。かい摘んで話をすると、前立腺という組織の中にテストステロン(男性ホルモン)が入ってこないように何らかの形で封鎖すると、前立腺癌細胞はここで飢え死にするかアポトーシスを起こすか寝てしまうのでおとなしくなります。

 ( slide No. 60 )  病期が軽ければそのまま様子を見てもいいし、根治的治療もできるし、コバルト照射もできます。ただステージが進んでいくと他の治療法と組み合わせていかないとややこしいことになります。もう一つは治療を中途半端にしないことです。癌細胞に3種類あって、ホルモンによく効く癌細胞とやや効きにくい癌細胞と全く効かない癌細胞があります。日本人では効きにくい癌のケースは2、3%と非常に少ない。他は差はあるにしてもホルモンが効くと言われています。

 ( slide No. 61 )   PSA 4.0~8.0ng/mlはグレーゾーンだと説明しましたが、癌と違うのに年齢以上に上がっているケースがあります。それは前立腺自体が大きい場合、炎症がある場合、前立腺の刺激で上皮からPSAが過剰に分泌されている場合。例えば管が入ったとか内視鏡を入れたとか、このような操作をした後は上昇することがあります。半減期は3日と考えていますが、次のPSA測定まで少なくとも3週間おいています。その他、射精した後、便秘で気張った後、マウンテンバイクで田舎道を走ってきた後。このような場合も前立腺に刺激を与えるのと同じで血中のPSAが上がることがあります。

 ( slide No. 62 )  私どもの患者さんは全部白黒がはっきりしているかというと、PSAが10ng/ml 台の人が7、8人残っています。前立腺の重量が80g、100gの人もいます。ですからここで関連指数を出しています。まずPSA density。PSA値を前立腺の重量で割って0.15よりも小さいか大きいか。0.15より大きいと癌の疑いが出てきます。PSA verosity 。毎年定期的に調べてその変動幅が毎年0.75ng/ml/yearの伸びであれば心配ありません。 Age-specific PSA、年齢的な補正を加えます。このようにしていろいろ予想していますが、やはり定期検診が一番いいと私どもは考えています。

 ( slide No. 63 )  最後になりました、「年だからではなくて、早期チェックをすることによってより質のいい生活にしませんか」。

 前立腺肥大症を改善するのに一番簡単なのはα1 ブロッカーです。私どもで検査して方針が決まると近くのホームドクターから出してもらいます。最近は90日分ぐらい出ますので、忘れた頃に来院される患者さんも多々おられます。それでいいと思います。これを忘れるということは調子がいいのでしょう。きょう資料提供を受けている会社のハルナール(塩酸タムスロシン)は1、2日ぐらい忘れても大丈夫ですが、3日やめると尿の出方は元の木阿弥という方が結構います。

 排尿障害を放置しないように。そのうちにと考えている間に膀胱壁の疲弊が起こってきて、膀胱神経が暴走するようになります。トイレまで間に合わなくなった、ちびるようになった、気張ってもすぐに出なくなったなど、そのようないらだちが出てきます。前立腺肥大症でも血尿が出ますが、バックボーンに膀胱癌や前立腺癌が隠れている場合がありますので、必ず検査をされたほうがいいでしょう。PSAの検査は手軽に内科の先生でもできますのでホームドクターに是非調べてほしいと申し出てください。年に1回か2回で十分です。保険では3カ月に1回しか通りません。

 どうもありがとうございました。

 

 座 長  川村先生、どうもありがとうございました。天皇陛下の手術も無事すんだようですが、きょうの市民公開講座の演題と偶然重なってしかけて培養すると、細胞はこのような血管の切り口に似た丸い輪を作ってきます。血管を形作ることが"0j蒡 ?姓APUUU毫毫毫UUU"""UUU毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫面算UUUUUU毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫3f3ff33面33f3f3f毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫算UUUUUU毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫DfDDD毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫3f3f面33f3f毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫算UUU毫毫"0毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫3ff33f3面面www33f毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫算"""毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖崖毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫崖面面面面面面面面面面面面面面面面更毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫崖面面面面面面面面面面面面面面面面真更毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫崖面面面面面面面面面面面面面面面面篤真更毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫崖面面面面面面面面面面面面面面面面面篤真更毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫誓毫毫毫毫毫毫毫毫算毫毫毫毫毫毫毫3ff3wwwwwwwwwwww3毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫毫UUU崖面面面面面面面面面面面面面面面面まいました。排尿障害というおしっこに関する訴えは年だからとか仕方ないとあきらめがちですが、治療法がある程度確立しているので困っているようだったら泌尿器科の先生にご相談ください。もう一つは前立腺癌が注目されています。スクリーニングに関しては八幡市でも積極的に基本検診に組み入れられています。高齢の方は年に1回、内科でも定期的に調べられたほうがいいと思います。

 質 問  私はペニスを前立腺と誤解してとらえていました。乳癌の触診ように自分でペニスを触っていると膨大してきますので、これが肥大かと。この名称に問題があると思います。ペニスとは全く関係なく、中にあるものが肥大したり癌化するということですね。

 八幡市で導入されたPSA検査では私は0.4ng/mlでしたので、また来年と言われ、来年の数値の変動が0.75あるかどうかを見るというのは非常によいアドバイスでした。そこで防御因子について先生はトマトや豆類を、増強因子として加齢を挙げられていました。その加齢を強く防御するのがトマトや豆類でしょうか。

 八幡市検診で例年より5割増の29人で癌が見つかったというのはどうしてでしょうか。食変化か八幡市独特のものか、あるいは日本全体としてふえているのでしょうか。

 川 村  1番目のポイントである前立腺の名称について。私が名付けたのでないので何とも言えません。私が学生のときには古い先生には摂護腺と、新しい先生には前立腺と使い分けていました。教科書的には前立腺と統一されているので、いかんせん私も知りません。

 2番目のPSAに関して、講演の中で言葉を濁したところがありますので補正させてください。PSAが0.4ng/mlというのは非常にありがたいことです。前立腺癌は95%まで分泌腺からできる癌ですので、PSAが反応していると言われていますが、できる場所によっては前立腺部尿道からできてくる場合があります。これは移行上皮癌ですのでPSAに反応しません。癌がこの部位に発生するのは1%以内、多くても2%を超えることはないと言われています。またこの部位が癌になると血尿が出ますので、膀胱癌の疑いからチェックされています。

 癌の自然史ということで1cmのものが2cmになる、4cmになるというグラフを見ていただきましが、加齢が伴うのは好発年齢が高齢期にひっかかって急カーブを描いているから見つかるわけで、それをどうこうすることはできません。

 今回の5割増ですが、今まで誰も調べていなかったところに八幡市の検診で手を入れたためと考えます。この症状は泌尿器科と関係ない、年齢相応と思っていた方が泌尿器科を受診することによって発見されたということです。

 例えば海辺で誰も投網を打ったことがないところに初めて投げるとたくさん魚がかかります。しかし同じところに何度も投げると次第に減ってくると思います。毎年10万人当たりの新生発見率がありますので、0になることはありませんが、今以上に多くなることはありません。5年ほどすれば統計的な数字が出てくると思います。

 実は今から10年前に守口市の市民検診で関西医大からPSAの検査費を負担するのでぜひ調べさせてほしいと申し出て調べたことがあります。このときは松下病院と野江済生会病院と関西医大とでやりました。それによると、今回と同じようにびっくりするぐらいの患者さんが見つかりました。二次検診で生検をしたのが 233人(全体の 3.8%)で、このうち48人から癌が見つかりました。八幡市でも最初はたくさんの癌が見つかると思います。ただしこの方々は全部症状のない方ですので、病期で言えば stage A1 あるいは A0 のケースも入っているかもしれません。ですから私どもは例えば80歳の方でPSAが5ng/ml で生検検体6カ所のうち1カ所しか見つからなかった場合、この方の治療は様子をみるというケースもあるし、注射による薬物治療も考えられます。それは case by case になります。

 防御因子にトマトとか豆とか書いていましたが、いずれも有意差が出ていません。たくさんのサプリメントが出ていますし、よいものは取り入れるほうがいいでしょうと言われているので、私は何も反対しません。

 質 問  PSAとPAとは同じものですか。ある病院でPSA検査をお願いしたところ、血液検査の表のPA欄に1.0ng/mlという数字でした。PA欄に4.0ng/ml以下は正常と表示されていました。

 川 村  同じだと思います。ただ4.0ng/ml以下が正常だと申し上げましたが、検査センターが使っているタンデム法とかRIA法とか、その測定方法によって正常値に違いがありますので、それをよく見てください。

 質 問  日常生活のことでご指導いただければと思います。私は78歳で3年ほど前から頻尿と思われる症状が出ています。夜間に3~4回尿が出ます。あるとき健康診断があって保健師さんに夜間頻尿をお話しすると、夕食後は水を飲むなと言われました。2、3カ月続けるとなるほど排尿の回数は1、2回減ったように思いますが、逆に喉が乾くようになってきました。どうしたらいいでしょうか。

 川 村  ただいまの質問は皆さんからよく受けます。若いときには夜中起きない、ところが高齢になると夜中1、2回ならいいけれども、3回とか4回となると睡眠障害が出てきます。まず、これが果して前立腺肥大症で起こったのか全身状態でそうなったのかを考えなければなりません。夜尿を作っても朝までもつように濃縮できるといいのですが、そうでない場合には薄い尿のまま何回も起きざるをえません。例えば心臓が悪くて昼間尿を作る仕事をあまりしなかったので夜なべ仕事でおしっこを作っているケースもありますので、一概にこうだとは言い切れません。腎機能とか心臓の働きを考えた上で尿の問題を考えないといけません。

 夕方以降の水分をコントロールされているんですね。睡眠中に血圧が一番下がりますので、高齢になって脱水の状態で就寝すると、どろどろの血液が血圧が下がることで余計にどろどろになります。血栓ができやすい状態になるので、私は水分制限をしておりません。喉が乾くなら飲んだほうがいいと思います。ただしガブガブというのではなくて、冷たい氷水のようにして一口二口で我慢されるのではいかがでしょうか。

 質 問  水を飲まずにうがいで喉の渇きを抑えていますが、やはり飲むほうがいいのでしょうか。

 川 村  血栓ができてからでは遅いと思います。

 質 問  去年8月に八幡市の健康診断で地元のお医者さんを受診しました。そのときにPSAの血液検査をしました。88歳にもなるので遠慮したのですが、検査だけしたところ8ng/ml 前後ありましたので川村先生にお世話になりました。結局生検をして、6本のうち1本がひっかかって、その結果私は帰宅して覚悟しました。手術をせずに1カ月に1回の注射で様子をみていますが、8ng/ml 前後あったものが数カ月後には1.5ng/mlぐらいまで下がっています。今後お世話になりますのでよろしくお願いします。まだ 0.2、0.3ng/mlに下がるまでやらないといけないのですが、下がったとして余命はどれくらいでしょうか。

 川 村  心臓が止まるまで保証します。薬を使うと半年以内に薬物学的除睾術、去勢したのと同じような効果が出てきます。そこでPSAが4ng/ml 以下に下がれば非常におとなしい癌と考えられます。

 質 問  他の癌は割合進行するのが早いのに、前立腺癌は遅いんですね。

 川 村  土台がお年を召していますから。同じようにホルモン依存性の癌としてもう一つ、乳癌がありますが、実は生検では分化度も調べています。分化度が高分化型、中分化型ならいいのですが、特に低分化型だとたちが悪い。現に私が知っている方は40歳代で癌が発病してわずか8カ月で亡くなられました。

 質 問  石川県で昨年7月に前立腺肥大症と診断されて手術をしました。8月に退院して京都にきて通院しています。退院後もずっと尿漏れが続いて、本人は手術をしなかったほうがよかったとまで言っています。術前には一時的に尿漏れがあるという説明を受けましたが、何カ月経っても尿漏れが続いている状況を考えると、将来もずっと続くと考えないといけないのでしょうか。また何かいい治療法があれば教えてください。

 川 村  経尿道的に処置をされたんですね。多分尿道括約筋の閉鎖不全でしょう。うまく閉まらないことによって漏れるんだと思います。この場合、一時的なものが8割方あります。遅くとも1年以内に回復するというのが通例です。どうしても治らない場合にはコラーゲンを入れて瘢痕組織を作って閉めるようにするのが一般的な方法です。私も2例ほど経験があります。それでもだめな場合は人工括約筋を入れます。血圧を測るときにマンシェットを巻いてポンプでそれに空気を送ると閉まりますね。それと同じ原理のミニチュアがあります。それを尿道に回してポンプを陰嚢に入れて、そこを抑えると水が回って閉まる、緩むというものがあります。ただしちょっと高価です。

 質 問  手術の時間はどれくらいかかりますか。

 川 村  コラーゲンの場合は麻酔時間だけでそんなにかかりません。コラーゲンの注入法は熱が出る場合があるので、1泊か2泊していただくのが安全だと思います。というのは注入するときにかなり痛いと思います。

 質 問  きょうのお話は前立腺癌と前立腺肥大症についてでしたが、これ以外に(慢性)前立腺炎があります。これは肥大症とどのように違うのでしょうか。

 川 村  前立腺癌と前立腺肥大症はおわかりいただけたと思いますが、前立腺炎は名前のとおり炎症です。炎症が尿道炎に引き続いて前立腺炎が起こる場合、歯槽膿漏とか扁桃腺炎から腎後性にくる場合があります。脱線しますが、男性で熱の出る尿路疾患は腎盂腎炎、おたふくかぜの後に出てくる睾丸炎、副睾丸炎、前立腺炎です。前立腺炎には急性のものと慢性のものがあります。慢性の中には細菌性、非細菌性、前立腺症というのがあって説明が難しくなります。前立腺炎は厄介な男の病気です。前立腺肥大症の治療薬としてαブロッカーを説明しましたが、これが排尿障害に効果があります。前立腺炎の説明には1時間以上かかります。よろしかったら昼から30分取ってご説明いたします。

 質 問  私は前立腺炎と言われました。病原菌が入ってそれが炎症を起こしている、だから抗生物質で早く菌を殺してしまえば解消するのではないかという素人考えがありましたが、先生はホルモンの関係からきているとおっしゃいました。

 川 村  菌がいて燃え上がっていると抗生物質が必要だと思います。ですから急性でも慢性でも細菌性の前立腺炎の場合、実際に細菌が確認できたときには抗生物質が有効です。しかし起炎菌の存在が証明されない炎症であれば必ずしも抗生物質を使う必要はありません。

 その場合には対症療法として消炎剤や前立腺の血液の循環をよくする薬で治療します。私は桂枝茯苓丸、八味地黄丸、牛車腎気丸などの漢方薬を使っています。患者さん自身がかなり悩んでいるのが実情です。よくなったり悪くなったり、そのような経過をたどるのですっきりしないケースが多いと思います。一番厄介なのが前立腺痛です。尿所見もない発熱もしないのに痛みだけが残る、気持ち悪いものだけが残ってしまいます。これには生活コントロールしかできません。

 座 長  時間がまいりました。川村先生には前立腺のお話をしていただきました。普通癌と言われると目の前が真っ暗になる、特に癌の場合は早く手術をすることになりますが、前立腺癌に関しては生検で癌と診断されても、すぐに手術することなく男性ホルモンを抑える薬を注射することで縮小します。癌が怖いから受診しないということではなく、放っておくと骨に転移することもあり、その痛みがたいへんです。ですから積極的に年に1回はこの検査を受けたほうがいいと思います。

 僕は内科の医者ですが、甲状腺癌の一部にも10年、20年かけてゆっくり進行する癌があります。甲状腺癌の場合も手術をせずに経過をみることがあります。

 寝る前に水を飲んでいいかどうかという話がありましたが、特に脳血栓とか脳梗塞の予防には寝る前にコップ一杯の水を飲んだほうがいいと勧めていることもあります。おしっこを我慢する意味では飲まないほうがいいかもしれませんが、全身的なこと、血液が固まりやすくなることを考えると、寝てから朝起きるまでお水を飲まないよりは少し摂ったほうがいいのではないかと思います。またご質問があれば病院でお聞きいたします。

 これで市民公開講座を終わります。どうもありがとうございました。