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関西医科大学第4回市民連続公開講座
「やさしく身につく心肺蘇生法」Q and A
中谷 壽男(関西医科大学救急医学科教授)
平成13年(2001年)10月20日(土)
関西医科大学南館臨床講堂
司会 松田教授(泌尿器科学)
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司 会 中谷先生、どうもありがとうございました。誰でもできるようにポイントだけ押さえて教えられるようになってきたということだと思います。質疑応答が終わってから実習をしていただきたいと思います。

 私もシカゴの救命の先生の講演を最近聞きまして、シカゴ空港は今、歩いて3分毎の距離に除細動器が置いてあるそうです。特にトイレには必ず置いています。気分が悪くなるとまずトイレに行って、そこで倒れることがあります。トイレの看板と同じように「ここに除細動器あり」という看板がわかるように掲示しています。誰でも使えるらしい。それをシカゴ空港に配置するようになって、シカゴ空港で倒れた人の救命率が、かつてはニューヨークなど他の都市に比べて非常に低かったのですが、追いついたとおっしゃっていました。恐らく日本も間もなくそうなるのではないかと思います。

 ところで除細動器は1台いくらぐらいするんですか。

中 谷 最後にお見せしたのはいくらだと思いますか。

フロア 50万円ぐらいですか。

中 谷 とんちで答えてくださってもいいんですよ。2年前に私が業者に尋ねた額は、119 番に引っかけて 119万円でした。だけど今は70万円から50万円程度になっているのではないかと思います。

司 会 超高級テレビぐらいですね。

中 谷 これは我々が病院で使っているものと比べて、モニターで心電図を見なくてもいいので、その分安くなっています。我々が病院で使っているのは 200万円程度します。

質問1 8歳以下の子供に人工呼吸をする場合を聞き逃しました。教えてください。

中 谷 説明を忘れていました。8歳以下の子供に人工呼吸をする場合でもやり方は同じです。気道を確保するために頭を後ろにそらせて、自分の口を付けます。幼児では鼻を摘んで口を付けて、乳児では鼻と口を一緒に覆ってしまって、胸が少し動く程度に息を吹き込みます。

 子供の場合、むしろ心臓マッサージのほうが大事で、その回数は年齢層によって少し違ってきます。幼児は大人と同じ1分間に 100回くらい、1歳未満の乳児では 100回以上、生後4週間までの新生児では 120回以上押します。1分間に 120回ですから、1秒に2回です。そして子供では胸の厚さが 1/3ぐらい窪むぐらいに押します。大人の場合、本当に上半身の体重をかけるぐらいに押してください。倒れた人が相撲取りのようなすごく頑丈な人では、本当に体重をかけないとそれだけ沈みません。

質問2 そうしますと、幼児の人工呼吸は大人と一緒の2回でいいのですか。

中 谷 人工呼吸と心臓マッサージの比率は、大人の場合は2回に対して15回と言いましたが、小児の場合は2:15が3:15(1:5)になります。新生児の場合は5:15(1:3)になります。ですから小児の場合は1回吹き込んで5回心臓マッサージ、もっと小さい新生児では1回吹き込んで3回心臓マッサージと、大人に比べるとそれだけ呼吸を重要視します。

質問3 どれくらいの時間するのですか。蘇生すればやめてもいいのですか。

中 谷 一般の方がする場合、救急隊員が来るまでの数分間は続けていただきたい。もし脈がしっかり触れて呼吸しはじめたらやめていただいて結構ですが、素人の方が人工呼吸をやって、実際に救急隊が来るまでの数分間で呼吸を戻すのはかなり難しいと思います。

質問者 かなり時間がかかるんですね。

中 谷 救急隊員が来たら引き継いでいただくようにお願いします。

司 会 子供の場合、人工呼吸を最初にするし、人工呼吸と心臓マッサージの比率でも呼吸のほうが大人に比べてちょっと高くなります。しっかり脈が触れるようになるまでやるということですね。

中 谷 それでは人形を出しますので、心臓マッサージだけでも、あるいは人工呼吸も是非ともご経験ください。

司 会  せっかくの機会ですから実習をしてお帰りください。次回は11月17日(土)になります。今回は二百数十人の応募がありましたが、会場の関係で抽選で 140名の方にお越しいただいています。来たくても来られなかった方がいるということをご理解いただいて、是非第2回、第3回とご出席いただくようお願いいたします。次回は動脈硬化と形成外科のお話です。司会も変わりますので、私が皆さんとお目にかかるのは来年となります。どうもお疲れさまでした。

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この講演記録は、ボランティアの方が録音から起こした筆記録のディジタルファイルをもとに作成されたものです。
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