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「がんの予防と治療」(前立腺癌)5
前立腺がんの治療
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( slide No. 29 )  最後に少しだけ治療のことをお話しいたします。癌が見つかりますと、癌がどこまで広がっているかという検査をします。前立腺の局所はどうか、直腸、膀胱にいっていないかについては、指で触った所見とか先ほどの超音波とか、あるいはMRIという画像検査をします。リンパ節も画像で見たり、場合によってはちょっと手術をしてリンパ節の転移の有無を確認する場合もあります。それから骨の場合はアイソトープを使ったシンチグラフィーという検査をして病気の広がりを調べます。

( slide No. 30 )  MRI画像ですが、これはとてもきれいに撮れた患者さんのを持ってきました。この白いのが正常でこの黒いのが癌です。こんなによく見える人はむしろ珍しくて、この癌のありかをきれいに出す技術がまだないんですけど。こういう画像技術はどんどん進歩していますから、多くの患者さんで癌の広がりを正しく診断して、正しい治療ができるようになりつつあると思います。

( slide No. 31 )  治療は、癌が前立腺にとどまっている場合、最も完全に治る可能性の高い治療は手術です。手術が一番よく治ります。ただ前立腺にとどまっている非常に小さいしかもあまり悪くない癌は、放っておいてもいい場合もあります。これはなかなか判断が難しい場合もありますが、90歳になっても小さいままの癌は放っておいてもいいわけです。90歳になると前立腺のどこかに癌がある人は50%ぐらいと言われています。大かれ少なかれ人間は長生きすると前立腺に癌ができるようですけども、その中で治療しな いといけない癌を見つけて治療をします。その一番いい方法は手術です。

( slide No. 32 )  手術は、簡単に申し上げると、前立腺と膀胱、前立腺と尿道のつなぎ目を切断して前立腺を取ってしまいます。そして膀胱と尿道を元どおりにつなぎあわせるわけです。75歳ぐらいまで手術をしています。術後に尿が少し漏れるという心配がありますが、だだ漏れになるということは現在はほとんどありません。

( slide No. 33 :スライド31と同じ)  少し癌が広がっている場合は手術では取りきれません。その場合には放射線を当てる治療がいいと思います。残念ながら既に転移がある場合、この場合もそんなに落胆しないでください。大変いい治療があります。男性ホルモンを少し落とすような内分泌療法が大変よく効きます。万一転移があっても、すぐだめというとはなく、大変有効な治療があるのです。要は、できるだけ早く見つけて適切に治療をする。治療技術はどんどん進んでますから、見つけるということが何よりも大事だと思います。

( slide No. 34 )  要するにふえているから早く見つけよう。そのためにはPSA。いい治療がありますから、見つけないと話になりません。もちろん予防は大事ですけども、皆さんはちょっと遅いわけですから見つけないといけない。きょうは是非「PSA」という言葉を覚えてお帰りいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

質問 いきなり泌尿器科に行かなくても、他の科の血液検査でやるときにPSAを希望すればやっていただけるのでしょうか。

松田 大丈夫だと思います。



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この講演記録は、市民ボランティアの方々が録音から起こした筆記録のディジタルファイルをもとに作成されたものです。
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「がんの予防と治療(前立腺癌)」松田公志泌尿器科学教授
「骨髄移植と臓器移植」池原 進第1病理学・移植センター教授
「アトピー性皮膚炎」堀尾 武皮膚科学教授
「神経症」木下利彦精神神経科学教授